ピザニキ

イギリスにはいろいろな暗黙のルールがあるような気がする。

 

例えば、レストランで注文をしたい時、会計をしたい時、手を上げて大声で店員さんを呼んだりしない。アジア出身者としては今のところこれが日々の中で一番文化の違いを感じる場面だ。

 

つべこべ言わず辛抱強く待つことが美徳、みたいな雰囲気がある。トイレのどこかが壊れてたり、店員さんに全然気づいてもらえなかったり、そういうことにあまり文句を言わないからこそ、トイレの鍵は壊れかけで便座と便器がめちゃくちゃずれていて水が流れなくても、そのままなんだろう。

 

トイレで思い出したけど、グラスゴーのバスターミナルでトイレに行こうとしたら、入場に30ペンスかかった。初めは気づかずにゲートを強行突破しそうになり、それを見ていた警備員のおじさんにヘラッと苦笑いを見せて退散した。友だちにお小遣いをもらい出直す。両替をしていると警備員のおじさんがめちゃくちゃ見てくるので、声掛けとくか、と思って「30pやんな?」と聞いてみた。「せやで、あんたベトナム人?」と、切り返された。トイレをしたいだけなのに出身地の話からしなくてはいけなくなった。私「日本人だよ」おじ「日本ってことは通貨はJapanese dollarか?」私「ジャパニーズ円どす」おじ「&¥^%$#!*」。おじ、突然何を言っているかわならなくなった。そう、スコットランドあるある、みんな気さくで話しかけてくれるのだけど、アクセントが強くて理解できず愛想笑いでごまかす、が多発する。本当にみんな良い人々で、ロンドンの喧騒で萎びた私の心には沁みる。ただ何言ってるかわからない。そういう異国体験ができる良い地域です!(突然)

とにかく、おじへの返答に困りニヤついていたら、おじは友だちを見つけてどこかへ行ってしまった。適当で好き。無事トイレできました。流れなかったけど。

 

もう一つトイレ話をすると、手を乾かす機械(乾燥機?)の威力が尋常ではない。ダ◯ソン製とかが多いのだが、手の皮がビロビロって揺れるくらい風圧が強い。頼む、水洗の圧もこれくらいであれ。

つぶらな瞳のネッシー

トイレじゃなくて暗黙のルールの話をしたいんだった。

他に思いつくのは、自己紹介をあまりしないこと。共通の知り合いにお互いを紹介をしてもらわない限り、名前さえも知らないまま人と別れることがたまにある。出身や名前とか、属性を初手に把握したい文化圏から来たので、これもやりづらいなと思ったことがある。

Awkwardな出会いと別れはよくあるのだが、この前スーパーで声をかけてきたナンパ(?)もすごく謎でお互いに気まずい感じになった。どのピザが良いかな?と出来合い惣菜コーナーで声をかけられ、知らんけどキノコにすれば?と適当に返したら、オッケー!じゃあ一緒に食べよう!と言われてズッコケた。それは流石にいらんわ、と丁重に(なつもりで)お断りをしたら、じゃあ電話番号教えて!WhatsAppしよ!と押しが強かった。拒否しても、今日は祭りやし!(スコットランドでは祭り月間なのは本当。来週末はジャルジャルも来ます。)と、ピザニキはなかなか引かなかった。祭りでもお前とピザは食わんよ。最後は日本語に切り替えたらどこかへ消えて行った。なんか、まともにグリーティングできる人はいねえのか?異邦人はいちいちこういうことで泣きそうになる(泣いた)。

Edinburgh Festival Fringe

そんなこんな、知らぬ間にルールを破ってしまうことを恐れながらも生きています。人生の夏休みもう少し続きます。