美容院行った

半年ぶり(?!)に美容院に行った。

外にもあまり出ないし…などとズボラを発揮して全然行っていなかったため、髪のダメージと量がすさまじいことになっていた。

 

初めて行く近所の美容院。席にファー〇ェイのタブレットが置いてあるなと思っていたら、それで好きな雑誌読んでくださいとのことだった。時代だね。

 

コロナ禍でファッションやメイク用品への興味をある程度失った私はグルメ雑誌や陶器特集の雑誌を読んでいた。パーマ液かけて少し置きますね。はい。別の液かけますね。はい。あと5分ぐらいすみません様子みます。はい、大丈夫です。

結構待ち時間が長かったので久しぶりにファッション雑誌を選んだ。心が永遠に大学生だから20代前半女性向けの雑誌を開いてみた。モテとかまだ流行ってるんですね。'きゅるりん'とか'ちゅるん'とかよくわからない単語が並んでいた。

 

読み進めると生理特集があった。みんなは生理の時どうやって過ごしてる?生理中でも気分を上げてくれるアイテム!などなど。こうやってオープンに情報をシェアできるようになったのは結構なことだなあ。私も生理1日目という最悪のコンディションの中で頭から上をどうにかするためにここに来ていたのであった。正直帰ってベッドの上で賢い医師生活観たい(みんなも観て)。

まあそれはさておき、生理特集、最後のテーマが「自分の女らしさと向き合う」みたいなタイトルだった。女らしさ…。もう時代遅れの言葉になってると思っていた…。読んでみると、生理=女らしさという書き方だった。これ以降私の心の中はモヤモヤモヤモヤしてしまった。

生理を女らしさととらえてポジティブな方向に持っていこうとしていること。これがなんかほんとに家父長制社会で生まれたポストフェミニズム感がぷんぷんでもう私は本当に、オタク用語で言うと、死んだ。ポストフェミニズムとは、80年代にはすでに存在した反フェミニズム感情やそれに基づくバックラッシュが若い世代に広がっている状況を指す。「男女平等はもう達成されたのになんでフェミニズム運動が必要なの?」というような主張だ。

この主張にはたくさんの問題がある。

まず第一に男女平等って本当に達成されたのか。雇用機会均等法とかができたのは確かだけど、男女間の平均生涯年収の差が1億円ぐらいあるって聞いたこともあるし、女性議員の割合も日本しょぼすぎるし…とかいろいろ文句は出る。

これにプラスしてポストフェミニズム現象が生み出している問題として以下が挙げられる。

  • フェミニズム的な語彙(エンパワメントetc.)が普及した一方で女性が新たな女性性を身に付けるように社会から要請されている。
  • 新しい女性性を前提に新たな性差を強化する言説も流行している。

これらの問題の背景にはネオリベラリズムがある。新自由主義。個人の選択が重視されるべきだという立場。すべての人が(女性も)自立していくべき!というような考え方(めちゃくちゃかみ砕いてるので詳しくは菊地夏野著『日本のポストフェミニズム:「女子力」とネオリベラリズム』読んでね)。

つまり上に書いた「新しい女性性」とは、古臭いほうの(おばあちゃんとかが言う)「女らしさ」を改めて「男社会に馴染んで仕事を頑張って自立していて且つ外見にも気を使っている女子」を目指すことなのだああああああ。自立が良しとされる一方で女子力とかいう過去の遺物(にしたいもの)も同時に押しつけられるという、まさに二足のわらじを履かされるハメになってしまった。

 

だから、美容院で読んだこの雑誌の生理特集、生理でしんどくてもバイブスぶち上げて毎日を楽しく頑張ろう!という'エンパワメント'的記事はまさにこのネオリベラリズムに迎合するものだと思った。最近流行りのフェムテックもそう。生理をうまくコントロールして男社会で毎日を頑張ろうという趣旨。もちろん女性のための選択肢が広がっていることは良いと思う。ただ覚えておかないきゃいけないのは既存の社会に女性のほうが合わせなきゃいけない風潮が蔓延していること。そっちが合わせろよ、って現与党の議員1人1人に言ったりしたい。

 

あともう一点、生理=女らしさなのであれば、トランスジェンダーの人はどうなるの?これちょっと前にJKローリングが炎上してたのと同じやん。編集者このニュース知らなかったのかな。生理のある人に女らしさを押し付けることも、トランス女性は生理がないから女ではないという議論をすることも、もうやめようや。そしてこういうエンパワメント(仮)が若い女性向け雑誌で普通に語られること、ちーん。ワイは疲れました。

 

という一日を過ごしました(無理やり)。髪の毛は可愛くなったからいいか!やっと若かりしころの奥田民生から抜け出した。

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