Fleabagとセクシー神父様

Fleabag:ノミのたかった動物、薄汚い格好をした人。

 

Fleabagというドラマに出会ったとき、どんな題名だよ、と思った。残念な人生の薄汚い中年男性の話?

…と、待って。

 
 
 
 
 
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このすらっとしたモデルみたいな人(※女優)が主人公。しかも主人公の名前がFleabagとのこと。なんで?!この人がFleabagなら私は何?!ゴミ?塵?生きててごめんなさい…と思うのも束の間、開始1分でわかる。

あ、残念な美人アラサー女性の話だ。

 

正直、ここで話のあらすじを紹介するつもりはあまりない(あの、このブログ読んでずにAmazonプライムでシーズン1・2両方観てください)。これはただこのコメディが大好きになったオタクの感想文です。みんな逃げて。

 

まずハマった最大の理由は、日本のドラマと全然違うなと感じたから。

Fleabagは2016年からイギリス国営放送BBCで放送されたドラマ。そう、国営放送。たぶんNHKでこの種のドラマが流れてたら私はひっくり返る。下ネタてんこ盛りだから。特製下ネタ詰め合わせスペシャル弁当だから。

そしてその弁当が若い女性によって提供されていること、これがこのドラマの最大の特徴だ。主人公は美人なロンドンっ子。男に困ったこともない。

ただ本当に残念な性格をしている(ちなみに私は見かけ倒し美人が大好き。友人もそいういう子が多い。失礼ですよ)。性に奔放で家族にも厄介者扱いされている。言わなくてもいいことを言ってしまう。主人公はこのことをすべて自覚している。この自覚と過去の傷が彼女の厄介な性格に拍車をかけてしまうのだ。

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公式インスタグラムより(@bbcfleabag

主人公が変態であるがゆえにドラマ全体も笑える下ネタで包まれている。それなのにどこか哀愁を帯びているのがこのドラマのユニークさである。下ネタを中心にアラサー女性の人生を描く、そういった女性の性欲や欲求を話題にする文化が日本にはまだまだないんじゃねと個人的に考えなおすことになった。もちろんそういう小説とかは昔からあるし、女性の性欲にスポットライトを当てる話題も増えてきているだろう。

でも、それをこんなに当たり前のものとして語るドラマがあることに驚いた。男の人が下ネタ言うのとか、現実でもテレビの中でもいくらでも見てきた。でも今回わかった。私は綺麗な女の人の口から下ネタが聞きたい。変態的な意味ではなく、女性によってそういう話題が語られること、もっと広まってよ。

ここで私が好きなFleabagの言葉。

"I sometimes worry that I wouldn't be such a feminist if I had bigger tits."

乳がもっとデカかったらこんなにフェミニストじゃなかったんじゃないかと時々心配になる。

Fleabagは都市部に住む若く美しい現代女性。当然のようにフェミニストだ(当然と言うと燃えそうで怖いけど実際特に西ヨーロッパ圏ではそういう傾向がみられる気がするという主観です)。でも、常に「自分がこんな人間じゃなかったら…」ということを考えている。自分への落胆と失望を軸に彼女の人生がコメディとして描かれているのだ。

 

このセリフから私がこのドラマを推すもう一つの理由がわかる。

言葉選びのセンスだ。

これは私がイギリスのコメディによくある皮肉たっぷりのジョークが大好きだからかも。でもFleabagは本当に天才的で緻密に計算されたジョークで溢れいている。先に言っておくべきだったけど主人公を演じるPhoebe Waller-Bridgeが総指揮、監督、脚本を務めている。つまりこのドラマは彼女のユーモアと才能が詰まった作品なのだ。いや、本当に好き、もっとこういうの作ってくれ、って思ってるのは私だけではないらしく、彼女の才能はきちんと世間に認められ始めている。007 No Time To Dieの脚本にも携わったらしい(ところで私この映画の公開を永遠に待っている気がするんですけど、コロナちゃん聞こえますか)。

特に主人公と姉クレア(主人公と数人以外にはちゃんとした名前がある)の掛け合いが好き。決して仲が良い姉妹ではないけど困ったときには助け合う、結局は同志みたいな関係性だ。本人たちはいたって真剣なのに2人の会話がほんとに傑作。妹がボケ、姉がツッコミ。でもたまに姉が大ボケをかますのが最高。私はこのドラマをずっとこういう目で見ていた。

それから、観始めてすぐに気づくと思うがFleabagは時折カメラ目線になり私たちに語り掛ける。心の声を全部こちらに聞かせてくれる。こうした構成もこのドラマがユニークである理由の一つだろう。本当に天才(語彙力戻ってきて~)。

 

さて、好きなところをまとまりもなくダラダラ書いてきたけど、最後にこれだけ言わせて。

シーズン2に出てくるセクシー神父様大好き!

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セクシー!(Rolling Stone 2019.6.14

みんな大好きAndrew Scottです。BBC版Sherlockのオタクでもある私、モリアーティを怪演した彼を見て以来ファンになった。何が好きなのかわからないけど、なんかすごく良い俳優さんじゃない?(本当にファンの発言?)渡英中にやってた彼の舞台作品観たかった…観たかった…。とにかく、Fleabagでも良い味出してるのでぜひ楽しみにしてください。この神父が物語のカギになるといっても過言ではないので。Fleabag観てください。Fleabagの舞台版日本のプライムでも公開してください。この記事の要点はそれだけだ。